俺たちケセラセラ!

10/1、今回で2回目のM-1グランプリに出場してきた。僕は漫才師でも、お笑い芸人でもないけれど、漫才師であり、お笑い芸人だ。決して他の、人生をお笑いにかけている人のようにお笑いを捉えているわけではないけれど、出るからにはプロなんだという気持ちで、どうせ出るなら、勝ち上がってやろう、という気概でやってきた。今日も入念な準備をしてネタをやった。

この気の持ちように関しては、去年とは明らかに違った。準備してきた時間も、それによって出来上がったネタも、想いも、完成度も全部違った。

そして、実際に、今日のネタは、僕たちコンビとしてはなかなかな出來で、今まで練習してきたもの、つくってきたものを出すことはできた。そう思っている。

そして、今日を迎える前の段階で、僕たちは二回戦に上がれる可能性があるんじゃないか、と思っていた。二回戦のこともちゃんと考えていた。いや、お笑いの本当の厳しさを知っている相方がどう思っていたかはわからない。もしかしたら、二回戦にいけるんじゃないか、と思っていたのは僕だけだったかもしれない(笑)

 だから、期待していた。二回戦も楽しみにしていた。やり切った。準々決勝、準決勝、決勝、とまでは難しいのは、もちろんわかっていたけれど、一回戦はあがれる、と思った。

 だから、悔しかった。僕たちは、勝ち上がれなかった。名前がなかった。

 相方も悔しかった、と言っていたし、本当に悔しかっただろうけど、不思議と、僕もとても悔しかった。想像を超える悔しさだった。台風で強風だったので、夜、実家に帰るか迷ってたから、そのままイオンモール幕張新都心に残ってたんだけど、イオンから海浜幕張駅までの歩いている途中で涙が出た。一瞬だったけど、強い悔しさを感じた。本当に一瞬だったけど、涙が出て、なんだか気持ちよかった。

 久しぶりだった。一瞬たりとも、これだけ悔しい、という気持ちが芽生えたのは。なんだか気持ちよくて、新鮮で、今回の挑戦を、取り組みをしてきて、本当によかった、とそう思えた自分がいた。

 去年と今年で日々の着眼点や気づくことが違って、そんな日々がおもしろかった。今年、本番が近くになって、ずっと考えていたのは、客観視すること、だった。審査員からは、観客からは、自分たちはどう見られるのか、どう評価されるのか、けっこう考えてきた。間違ってはなかった、と思う。めちゃくちゃ大事だと思う。自分の評価は自分でするもんじゃない、人がするもんだ。イチローさんも引退間際のシーズン途中のインタビューでそんなようなことを言っていた。

 ただ、今この文章を書いていて思う。なによりも、自分たちが心からその時間を楽しむことが大切なんだ、ってこと。

お笑いをして、M‐1に出場して、感じたこと、得られたことをどう人生に活かしていけるか、がこれからの鍵だと思う。

相方と、これからの人生も日々、成長していけるように、そして周りの人に笑いを、気づきを、幸せを届けられるように、最高に楽しんで、喜んで生きていこうと思う。